エスパルス3節/飛び道具

いやはや、ボブ・ディラン見た翌々日にエスパルスの応援行く男なんて他にいるだろうか…?
寝坊するはチケットもデジカメも持ち忘れるはで焦りまくって日本平へ。


【3月20日 / Jリーグ第3節:清水 1−0 神戸 /‘飛び道具’】


前半、ヨンセンへのロングボールが多かったのは風上だったからか。あるいは一昨年のナビスコ決勝以来‘天敵’と化している♯6エジミウソン(今季大分から移籍)を避けたかったからか。
神戸はヨンセンとの空中戦よりセカンドボールを拾うことに専心、よく集中していて清水の攻撃をことごとく寸断、単発に終わらせた。
後半早々、岩下が負傷離脱。CBは児玉とボスナーのコンビに。CBが二人とも左利きというのは危ないのでなるべくなら避けるべきだが、緊急事態なので仕方がない。
(ベンチメンバーから外れた平岡は試合前、浩太、鍋田とともに通路で募金活動をしていた。自分は彼の箱に募金した)
これで清水のピッチ上はメンバーの半分、五人が左利きということに。


試合は清水のミスが目立ったが、これは終始神戸の中盤のチェックが厳しかったからで、余裕を与えられずミスを誘発させられていた。特に♯7朴康造のハードワークとエジミウソンの対人プレーの強さが目立ち、神戸・三浦監督の目論見どおりの試合展開になってしまった。
負傷明けで本調子ではないとはいえ♯13大久保は中盤からサイドまで幅広く動いて最後にはゴール前に顔を出し、なるほどこのチームでプレーの幅を広げているのがうかがえる納得のプレーぶりだった。彼の相棒として大型のセンタープレーヤーがいれば神戸はさらに手強くなるだろう。


          


しかし神戸も決定力を欠いてじりじりとした時間が過ぎる。このまま正攻法で攻めても神戸の守備は破れそうもない。パワープレーでも何でもハプニング的な‘飛び道具’が出ないと点は入らないだろうなと思い始めた後半35分、清水はゴール正面でFKのチャンスを得た。
長い助走からボスナーの放った低い弾道はブレながら壁の間を抜けてバウンド、強烈なスピンのかかったボールは逆をつかれたGK榎本の手をはじいてネットを揺らした。
今日はベンチスタートだったボスナーは試合前の練習で先発アタッカー陣に混じってシュート練習に参加していた。千葉時代の彼を注目して見たことはなかったが、長身ながら足も速く、キックに自信を持っているのは開幕後の二試合を見ていてもわかった。何よりも試合中よく声を出しているのが良い。
自国オーストラリアからクロアチアオーストリア(シュトルム・グラーツではオシムの下でプレー)、オランダと渡り歩き、1シーズンながらエバートンにも在籍した30歳は、さすがに自分の武器の見せ所を知っている。それは必死にアピールしなければ自分のポジションは無い(=職場を失う)という危機感を常に持ちながらプレーしてきたからだろう。
コースはほぼGK正面に飛んだボールは榎本が動かないでいてもキャッチは出来なかっただろう。先発起用されながら持ち味を出せずに終わった若い二人は、ボスナーの姿から学ぶべきものがあるはずだ。
通訳の方の嬉しそうな笑顔がとても印象的だった。


値千金の決勝点になったボスナーのFKを目の当たりにして思い出したのは、リバプールDFダニエル・アッガー。長身の左利きでDFとしてはやや線が細いのもボスナーに似ているが、何よりも彼の売りはプレミアでも有数のキャノン砲だということ。FKはキャプテン・ジェラードがいるのでめったに蹴らせてもらえないが、試合中ここぞという場面で攻め上がって左足を思い切り振り抜く姿は(たとえ遠い宇宙へ飛んで行っても)アンフィールド名物の一つになっている。
もちろん彼はデンマーク代表。日本戦のときだけはその左足の炸裂は封印しておいてもらいたいのだが。