2010-01-01から1年間の記事一覧

エスパルス天皇杯準決勝 / 験かつぎとWE LOVE YOU

一年前の同じ日。同じエコパでの名古屋との準決勝。バーを叩いたボールが海人の背中に当たってゴールラインを越えたあの日から丸一年。 苦しんだホンダFCとの一戦で始まった天皇杯。今年も今日までサバイブしてきた。水戸ホーリーホック、横浜Fマリノス、モ…

上田早夕里 / 華竜の宮

一週間ほど前の夕刊文芸欄に某・著名書評家が今年の小説界を回顧した記事が載っていた。それによると2010年の2トップは北方謙三と宮部みゆきで、それに続く作品としてこの『華竜の宮』が挙げられていた。その幅広さというか節操のなさというか、この三者を…

エスパルス天皇杯準々決勝 / 高級品と札束攻勢

アウスタに着くと、いつもとはちがう前座試合が始まっていた。 清水と静岡の特別支援学校の試合だった。女子生徒もいる団子状態の混戦の中でとにかく前にボールを蹴り出す。そうやって集団で少しずつ押しこんでいってゴールが決まればガッツポーズが出る。試…

P.トーディ / ウィルバーフォース氏のヴィンテージ・ワイン

この秋から冬にかけて、いつも拝読させてもらっている読書系ブログの方々がこぞってこの本を読んでいらして、みなさんそろって好評を記されていた。しかも(いつものことながら)それぞれに上手に感想をしたためられていて、大したものだなーと感心しながら…

黒岩比佐子 / パンとペン

師走のこの時期、思うように時間がつくれず読書が進まない。 年内あと二週間、せめてあと二冊だけは読むつもり(エスパルス次第だけど)。 各紙誌でことごとく採り上げられていた『パンとペン』をやっと読む。 べつに社会主義運動に興味があるわけではない。…

SION ライブ

あと俺はここで、たかが何十年か生きて 嗚呼、嬉しいだろう、つらいだろう くり返すのかい本当だった。二十年前、そう唄っていた男が今日、そこにいた 目ん玉ひんむいて 俺の腕、一本くれてやる おまえがほしい、ほしいと叫んでいた奴が、二十五年後の今夜、…

エスパルス / ローカルヒーロー

天皇杯が終わってからと思っていたけど、早くすっきりしたいので書いてしまう。今季限りで清水を去る伊東輝悦と市川大祐のこと。無理やりにでもポジって書いてみる。 【 エスパルス / IN&OUT ローカルヒーローの履歴書 】 来季の契約を結ばないと伝えられた…

宮下奈都 / スコーレ№4

『田舎の紳士服店のモデルの妻』に続いてこの本を読むつもりだったのに、ちょっとした手違いがあって、なぜかブラッドベリ『華氏451』を読んでいたという……(苦笑) 【 宮下奈都 / スコーレ№4 (316P) / 光文社文庫・2009年(101203−1206)】 ・内容紹介 自由…

エスパルス34節 / 心の代表

【 12月04日 / Jリーグ第34節:清水 0-3 G大阪 /‘健太のせいで心の代表2010’】 リーグ最終戦。 大局的に見れば、このチームでのラストゲーム。今季のみならず健太体制六年間の最終戦。チームを去る選手はリーグ戦での見納めだ。それに毎年のことではあるけ…

宮下奈都 / 田舎の紳士服店のモデルの妻

クロマニヨンズ・ライブの11/21。待ち合わせ時間よりだいぶ早かったので、久しぶりに駅ビルの書店に寄った。お目当ての一冊を見つけて、それからめぼしい本を物色した。今日はクロマニヨンズの日だから宮下奈都さんの新刊があったりして…と思いながら「ま」…

B.フラバル / わたしは英国王に給仕した

【 ボフミル・フラバル / わたしは英国王に給仕した (261P) / 河出書房新社(池澤夏樹=個人編集 世界文学全集第3集)・2010年(101118−1125) 】 Bohumil Hrabal 1971 訳:阿部 賢一 ・内容紹介 いつか百万長者になることを夢見て、ホテルの給仕見習いとなっ…

エスパルス32節 / 親バカと魂のゴール

観戦中はいろいろなことを考えて、またブログに何を書くかも考えていたのに、後半途中からもう細かいことはどうでも良かった。一点返されても負ける気はしなかったし。 いつもは冷静に試合を振り返っている(つもりだ)けど、今日はだめだった。 【 11月23日…

クロマニヨンズ・ライブ “ウンボボ月へ行く”

新作『Oi! Um bobo』をひっさげてクロマニヨンズのツアーがまた始まる。今回の初日は、なんと浜松! ライブハウス窓枠にはこれまで知り合いのロカビリーバンドのライブで何度か足を運んだことがあったのだが、今年三月に移転したらしい。以前はいかにもアマ…

小林正典 / 英国太平記

アイルランドの次はスコットランドだ、と思ったわけではないが、昨年買ったものの読むタイミングを逸して忘れかけていた本書を開くことにした。けっこうなボリュームがあるし、早川から出ているとはいえ著者は本職の作家さんではない。これどうなんだ?と始…

W.トレヴァー / アイルランド・ストーリーズ

アイルランドの本を読むということで、お伴というかガイドとして読んでいたのが、押し入れのMy段ボール図書館から発掘してきた 【 司馬遼太郎 / 愛蘭土紀行Ⅰ・Ⅱ(街道をゆく 30、31 ) / 朝日文芸文庫・1993年 】 昔読んだときには、さすが司馬遼太郎と思っ…

W.トレヴァー / 聖母の贈り物

『アイルランド・ストーリーズ』は絶対読まなきゃ!と買いに行った書店の書棚で隣に並べられていたのがこの本。まずはこちらから。素晴らしかった! これに続けて『青い野を歩く』を読めば、またちがった感想を持ちそうだ。 【 ウィリアム・トレヴァー / 聖母…

エスパルス28節 / ヒント

13時キックオフ。台風14号がまさに駿河湾南海上にある最中の強風強雨下の試合になった。(藤枝と草薙で予定されていた選手権準々決勝は延期された)今日の入場者数は七千人。前売り状況からすると数千人はチケットを持っていながら来場しなかったということ…

奥泉光 / シューマンの指

10/17、日曜夜のNHK・N響アワー。‘シューマン生誕200年特集「ジャーナリスト、シューマン」 ’を、「ひょっとしたら」の期待を持って見ていた。残念ながら予想は外れてそのまま番組終了と思いきや、最後に「来週はシューマン特集の第二回、ゲストに……」 キタキタ…

稲葉真弓 / 千年の恋人たち

都会暮らしに倦んだ女性作家が志摩半島の荒地に家を建て、手つかずの自然と格闘するうちに生の実感をありありと甦らせていく様を力強い筆致で綴った『 海松 』 が素晴らしかった稲葉真弓さん。 新作はオーソドックスなスタイルの家族小説になったが、やっぱ…

小野正嗣 / 夜よりも大きい

『嘔吐』をけっこう集中して読んだあと、無性にふつうの小説が読みたくてたまらなくなった。チラリと立ち読みして大人の童話っぽいのかなと選んでみたのが、この薄い本だった。ところがこれが、どこかロカンタンの世迷い言を思い出させる一筋縄ではない語り…

エスパルス天皇杯3回戦 / ケンタズ・チルドレン

来年元旦・決勝をめざす天皇杯の試合前とは思えないのどかな雰囲気のスタンドで涼しい秋の夕暮れ刻を過ごす。照明に映える緑の芝。メインスタンド上空には細い三日月が輝いてる。BGMにオアシス‘スーパーソニック’やU2‘I'll Go Crazy’が流れていて思わず口ず…

J-P.サルトル / 嘔吐 (鈴木道彦 訳)

『嘔吐』六十年ぶりの新訳刊行は新聞各紙の文化欄でも採りあげられていたから、たぶん自分より上の世代には、ちょっとした事件だったのではないだろうか。今回『嘔吐』を二冊続けて読んだわけだが、白井版「旧訳嘔吐」と鈴木版「新訳嘔吐」を細かく読みくら…

J-P.サルトル / 嘔吐 (白井浩司 訳)

夏から続けて読んでいる開高健のエッセイ集には、作家の読書体験を綴った文章も数篇あった。あの粘りけのある濃密な文体がいかに創造されたのか、ヒントがあるかもしれないと興味深く読むのだが、雑食性の多読乱読の人だけに決定的なこの一冊の類は出てこな…

仲井戸“CHABO”麗市 ライブ GO!!60 TOUR

【 GO!!60 TOUR 仲井戸“CHABO”麗市(Vo, G)with 早川岳晴(Bass) at 清水JAMJAMJAM / 10月3日】 10/9に還暦を迎える(!)チャボがその日のファイナルに向けた全60本のライブツアーを敢行! 今日の清水で実に58本を数えるのだから、ほとんどセミファイナル…

半藤一利 / 昭和史

戦争末期〜終戦のだいたいの流れが頭に入ったところで、一つさかのぼって戦前・戦中の昭和史にトライ。これは最高のテキストだった。 【 半藤一利 / 昭和史 1926-1945 (509P) / 平凡社・2004年 (100928-1002) 】 ・内容紹介 授業形式の語り下ろしで「わかり…

半藤一利 / 日本のいちばん長い夏

『日本のいちばん長い日』のデータを得ようとググったら、この映画記事がたくさんヒットした。 この映画のことは全然知らなかった。鳥越俊太郎、田原総一郎、島田雅彦、林望先生、松平定知らが終戦時の国家要人に扮した文士劇スタイルのようで、キャスティン…

半藤一利 / 日本のいちばん長い日

先月『昭和二十年夏、僕は兵士だった』を読んだときに、もう少し自分の国がやった戦争のことを知らなければいけないなと痛感した。実体験を持つ者は年々減っていく。この頃は、たいして知りもしない戦争を安易にネタにした小説やドラマを散見する。本読みと…

ロバート・A・ハインライン / 月は無慈悲な夜の女王

【ロバート・A・ハインライン / 月は無慈悲な夜の女王 (686P) / ハヤカワ文庫SF・2010年 (100910-0917)】 THE MOON IS A HARSH MISTRESS by Robert.A.Heinlein 1966 訳:矢野徹 ・内容紹介 2076年7月4日、圧政に苦しむ月世界植民地は、地球政府に対し独立を宣…

レイ・ブラッドベリ / 火星年代記 [新版]

去年の夏は短かった。ちょうど一年前、ブラッドベリ『たんぽぽのお酒』とハインライン『夏の扉』を読んだのだった。時の過ぎるのが本当に早い。今年もブラッドベリ&ハインラインのSFクラシックを一冊ずつ。 これも大昔に読んだはずだけど、さっぱり記憶にな…

エスパルス ナビスコ準々決勝 / 影のMVP

【9月08日 / ナビスコカップ準々決勝第2戦:清水 0−0 FC東京 /‘影のMVPと幻の激ロコ’】 九州から日本海に抜けた台風9号が北陸から本州中部を横断… 今朝の予報だと静岡県中部は今夜その台風まっただ中。帰れなくなった場合、清水で一泊して、明日始発で帰っ…