2011-01-01から1年間の記事一覧

ジェイン・オースティン / 高慢と偏見

またしても『高慢と偏見』。今年二回目だが『高慢と偏見とゾンビ』があるので(そのせいで若干の記憶の混乱もある)、気分的には三回目。しかも映画まで観てるし。 【 ジェイン・オースティン / 高慢と偏見 (上359P、下375P) / 光文社古典新訳文庫・2011年11…

C.ディケンズ / クリスマス・キャロル

【 チャールズ・ディケンズ / クリスマス・キャロル (189P) / 新潮文庫・2011年11月 (111223−1224) 】A Christmas Carol by Charles Dickens 1843 訳:村岡花子 ・内容 ケチで冷酷で人間嫌いのがりがり亡者スクルージ老人は、クリスマス・イブの夜、相棒だった…

C.ブロンテ / ジェイン・エア

金原瑞人さん訳の『武器よさらば』を買いに行ったときに、見てはならないものを見てしまった。古典新訳文庫11月の新刊。あろうことか、『高慢と偏見』ではないか! なんでいまさら…としばし呆然。いや、今はヘミングウェイだ。『高慢と偏見』はもう十分だ。 …

河北新報のいちばん長い日

【 河北新報のいちばん長い日 震災下の地元紙 (272P) / 文藝春秋・2011年10月 (111210−1214) 】 ・内容 肉親を喪いながらも取材を続けた総局長、殉職した販売店主、倒壊した組版システム、被災者から浴びた罵声、避難所から出勤する記者。それでも新聞をつく…

アイザック・アシモフ / われはロボット

【 アイザック・アシモフ / われはロボット[決定版] (431P) / ハヤカワ文庫SF・2004年 (111204−1208) 】I,ROBOT by Isaac Asimov 1950 訳:小尾芙佐 ・内容 ロボットは人間に危害を加えてはならない。人間の命令に服従しなければならない…これらロボット工学…

宮崎駿 / 本へのとびら

【 宮崎駿 / 本へのとびら ― 岩波少年文庫を語る (192P) / 岩波新書・2011年10月 (111201−1203) 】 ・内容 「生まれてきてよかったんだ、と子どもにエールを送るのが児童文学」 自らの読書体験、挿絵の素晴らしさ、アニメと本との関わり、そして震災後の世界…

ヘミングウェイ / 武器よさらば

ヘミングウェイ没後50年というので何か再読しようと思っていた。 自分らの世代にとってヘミングウェイといえば…… この表紙、大久保康雄・訳の新潮文庫だが、新しいのを、ということで。嬉しいことに、金原瑞人さんの訳で古典新訳文庫から新版が出ていたのだ…

清商全国へ!〜ロマンに賭けろ

今ごろ心ある大多数のサッカーファンは五輪予選の中継を見ているにちがいない。 自分は今日行われた高校サッカー静岡県大会・決勝の録画を見終えたところで、忘れぬうちにとPCに向かっているところである。 【 11月27日 / 第90回全国高校サッカー選手権静岡…

SIONライブ

【SION アコースティックLive 2011〜SION with Bun Matsuda〜 / 11月25日 浜松窓枠】 一年ぶりのSIONライブ。最近めっきり着る機会が減ったカッコいいシャツとブーツを選んで、窓枠へ。 場内は昔のフォークロックみたいなベルベッツが流れていて、去年もそう…

中村和彦 / アイ・コンタクト

少し前にNHK名古屋制作の三十分番組「明日へ響け“心の音”〜名古屋ろう学校・音楽部の挑戦〜」をたまたま見た。ニュースと天気予報のあと食器を片づけていたら、テレビからバンド演奏が聞こえてきた。あ、これは‘上を向いて歩こう’だな、RCヴァージョンの。…

エスパルス32節 / 清水の光

【 11月16日 / 天皇杯三回戦:清水 5−0 鳥取 / ‘愛のゴール’ 】 来季の構想から外れた永井の意地の一発は、ピッチとスタンドが渾然一体となったムードの中で生まれた。四月に行われた代表とJ選抜のチャリティゲームにおけるカズの‘国民的ゴール’の、まさに…

ゲット・ラウド

有休を取って午後から静岡へ。15時からロック映画『ゲット・ラウド』を観て、それから天皇杯エスパルスの応援に行くというめちゃくちゃな一日。 静岡シネギャラリーでは以前『わたしを離さないで』のときにもカズオ・イシグロの本を持っていくと料金割引とい…

ジェラルディン・ブルックス / 古書の来歴

90年代前半、若かった自分にはユーゴで起きていることがさっぱりわからなかった。結婚式の参列が銃撃される。蜂の巣にされた車が転がっている。病院すら廃墟と化し、オリンピックスタジアムは白い墓標が埋め尽くす墓地に変わっていた。スナイパー通り。サラ…

三上 延 / ビブリア古書堂の事件手帖

書店に寄るたびに必ず目につく本がある。自分の趣味じゃないと思って素通りしていたのが、毎回目にするうちだんだん「もしかしたら良いかも」と思うようになってきて、手にとってみる。これがまさにそういう本で…… 【 三上 延 / ビブリア古書堂の事件手帖 〜…

深水黎一郎 / 人間の尊厳と八〇〇メートル

【 深水黎一郎 / 人間の尊厳と八〇〇メートル (206P) / 東京創元社・2011年 9月 (111030−1102) 】 ・内容 このこぢんまりとした酒場に入ったのは、偶々(たまたま)のことだ。そこで初対面の男に話しかけられたのも、偶然のなせるわざ。そして、異様な “賭け…

宮下奈都 / 誰かが足りない

『なぜシロクマは南極にいないのか』という本を買いに書店に行った。 入り口近くにある文芸の新刊棚をのぞくと、おっ、中村文則さんの新しいのがある。その横に、おおっ、宮下さんの新刊もあるじゃないか! 入店三分後にはその二冊を手に店を出てきたという……

中村文則 / 王国

【 中村文則 / 王国 (177P) / 河出書房新社・2011年10月 (111024−1026) 】 ・内容 要人の弱みを人工的に作る女、ユリカ。ある日、彼女は出会ってしまった、最悪の男に。絶対悪VS美しき犯罪者! 大江賞受賞作のベストセラー『掏摸(スリ)』を超える話題作が…

エスパルス30節 / 清水のために、日本のために

パルちゃんズも楽しみにしていたこの日がやっと来た。テル・イチとの再会だ! 残留争いのただ中にいる相手。ゴトビ監督の言葉を借りるなら、甲府は「人生を賭けた闘い」を仕掛けてくるはずだった。しかし、スタンドから見ているかぎり、今日の甲府には清水が…

村岡恵理 / アンのゆりかご

少し前からNHK-BSで映画「赤毛のアン」シリーズが放送されているのは知っていたが一回も見なかった。子供の頃からあれは女の子向けという先入観があったのだ。 本書はその「アン」原作を翻訳・紹介した村岡花子さんの評伝。翻訳文学の先駆者としての堺利彦(…

6枚の壁新聞 / 石巻日日新聞社

【 6枚の壁新聞 石巻日日新聞・東日本大震災後7日間の記録 (253P) / 角川SSC新書・2011年 7月 (111012−1015) 】 ・内容 2011年3月11日、東日本大震災が起こり、東北地方を大津波が襲った。宮城県の地域紙・石巻日日新聞社では、輪転機が一部水没。創刊99…

三浦しをん / 舟を編む

【 三浦しをん / 舟を編む (348P) / 光文社・2011年 9月 (111008−1011) 】 ・内容 玄武書房に勤める馬締光也(まじめ)は営業部では変人として持て余されていたが、新しい辞書『大渡海』編纂メンバーとして辞書編集部に迎えられる。個性的な面々の中で、馬締…

エスパルス28節 / ユングベリ教室

夕飯を食べて帰るつもりだったけど、BSプレミア中継の録画を忘れていたのを思い出して急いで帰宅した。今夜は「マージーサイド・ダービー」リバプールvsエバートン戦なのだ。 はっきり言って格は全然違うのだけれど、自分にはリバプールを、ついつい‘オラが…

エスパルス26節 / ユングベリ効果

一週間前の夜、後ろ足で砂をかけられるものならかけたい気持ちであとにしたエコパ。 台風接近の影響で大荒れの天候が予想されたのに(県東部は大雨警報が出ていた)、時折雨がぱらつく程度で、後半は強い日射しがピッチに濃い影を落とした。 小笠山ではまだ…

エスパルス YNC二回戦 / 天使か悪魔か

清水駅のシャトルバス乗り場。乗ってくる人たちが手に手に花を持っている。勤め帰りらしいワイシャツ姿もあれば、年配のご夫婦もいる。小さな坊やが自分の背と同じくらいの花束を抱えている。今日の相手、新潟サポの人まで…… 発車を待つあいだ、早くも鼻をぐ…

エスパルス25節 / 永遠のサナダ・コール

例年より少し早く感じる秋の訪れ。ほとんど子供のように、指折り数えてこの一週間を心待ちにしていた。 土曜エコパ(VS磐田)−水曜アウスタ(VS新潟)−土曜エコパ(VS浦和)の三連戦。仕事の都合もつけた。ユングベリは見たいような見たくないような。でも久…

川瀬七緒 / よろずのことに気をつけよ

時速十五キロ、のろのろ台風の週末。おかげで(ほぼ)一気読み。一気読みできたのだから面白かったはず。読んでいる間は没入できた。でも読後感は…???な作品。 たぶん自分は辛口な読み手なのだと思う。『最初の刑事』の後というタイミングも悪かったかもしれ…

ケイト・サマースケイル / 最初の刑事

いつだって、この本は面白そうだという期待を持って読み始める。自分の予想どおりのこともあるし、はずれることもある。そんな読書生活の中で「これは絶対良い」という確信を抱き、実際にそのとおりにくぎづけになれるスペシャルな作品がときどきある。 これ…

今村夏子 / こちらあみ子

この表紙カバー、どこかで見たことあるなーと思っていたら思い出した。昨年だったか星野智幸さんのブログで紹介されていた。彼の『無限道』表紙でも使われた 土屋仁応氏 のオブジェ「麒麟」。小川洋子さんの近刊『人質の朗読会』にも彼の作品が使われている…

野坂昭如 / 「終戦日記」を読む

【 野坂昭如 / 「終戦日記」を読む (240P) / 朝日新聞出版・2010年 7月 (110813−0816) 】 ・内容 東京大空襲、原爆投下、玉音放送。新聞・ラジオでそれを知った大人たちは日記に何を書き残したか。当時十四歳だった著者は何を思ったか。中野重治、高見順、永…

エスパルス21節 / ボスナーの下敷き

スタジアム行きのシャトルバスは混んでいた。いつにも増して親子連れも多い、盆休みのホームゲーム。連敗ストップをかけた大事な一戦。もし今日も惨敗したら……。予報に反して今にも降り出しそうな空模様を眺めると、つい暗いことを考えてしまう。と、そのと…