2011-02-01から1ヶ月間の記事一覧

朝吹真理子 / きことわ

【 朝吹真理子 / きことわ (141P) / 新潮社・2011年 1月 (110221−0223) 】 ・内容 永遠子は夢をみる。貴子は夢をみない。葉山の高台にある別荘で、幼い日をともに過ごした貴子と永遠子。ある夏、突然断ち切られたふたりの親密な時間が、25年後、別荘の解体を…

多和田葉子 / 雪の練習生

ずいぶん前に読んだ多和田さんの芥川賞受賞作『犬婿入り』は自分にはよくわからない作品だった。今回はほとんどジャケ買い。多和田葉子とシロクマ…!? 何年か前に話題になった「ベルリン動物園のクヌート」(母熊が育児放棄して飼育員に育てられたホッキョ…

フランソワーズ・サガン / 愛と同じくらい孤独

『悲しみよ こんにちは』『ブラームスはお好き』などサガンの代表作を翻訳した朝吹登水子さんが朝吹真理子さんの大叔母だというのを芥川賞発表の新聞記事で知った。 なんとなくサガンをもう一度読んでみようかという気分になって、手近な書棚にあった『夏に…

宮下奈都 / メロディ・フェア

そろそろ『きことわ』をと行った書店で、「おっ!」宮下さんの新刊発見! 何を買いに行ったのかすぐ忘れてしまうのはいつものことで、またしても『きことわ』は延期。そういえば『天地明察』もまだだ… でも、何をおいても宮下奈都。今回のも良かった! すぐ…

馬場マコト / 戦争と広告

書名から硬い広告論の本かと思いきや、資生堂の山名文夫を中心とした日本広告界の戦中・戦後史ともいえるドキュメントだった。広告業の原点を時代に消えた先達の仕事を掘り起こすことで見つめ直す、たいへんな力作だった。 【 馬場マコト / 戦争と広告 (237P…

上原隆 / 胸の中にて鳴る音あり

【 上原 隆 / 胸の中にて鳴る音あり (241P) / 文春文庫・2011年 1月 (110207−0210) 】 ・内容 介護地獄に苦しむ元キックボクサー、淡々と「不倫のメリット」について語る女性が漏らした最後の一言、ネット喫茶でたったひとり新年を迎える男、文学賞に落選し…

フェリクス・J・パルマ / 時の地図

H.G.ウェルズのタイムマシンで切り裂きジャックに狙われた恋人を救いに行く… そんな広告文を目にして、これが面白くないわけないだろうと楽しみにしていたんだけど、期待をはるかに越える素晴らしさだった。 早く昨日の続きを読みたくて急いで帰る。今週はそ…

伊藤計劃 / ハーモニー

ハリウッド映画みたいな世界観の『虐殺器官』はどうも好きになれなかった。伊藤計劃さんの長篇第二作にして遺作となった本作。これも自分の好みではないかもしれないと思いながら読み始めた。 1/29夜、アジアカップ決勝は24時キックオフ。これを少し読んでか…