2009-07-01から1ヶ月間の記事一覧

稲葉真弓/海松

前回にも書いた佐野元春‘コヨーテ、海へ’にはこんな一節がある。「気まぐれな進歩はもういい、まだ見ぬ朝陽がきっと何処かにあるはず」 本書で稲葉真弓は「もう私は新しい時代なんて見たくもないし、トレンディなものも欲しいとは思わない」と書く。 五十代…

佐野元春 ライブハウス・ツアー“COYOTE”

ヴィジターズかカフェ・ボヘミアの頃に観て以来の佐野元春ライブ!半休を取って名古屋まで行ってきた。 【佐野元春&THE COYOTE BAND ライブハウス・ツアー“COYOTE”】at ZEPP NAGOYA 09.07.21 「コヨーテ」と呼ばれる、ある男の視点で切り取った12篇からなる…

佐藤亜紀/激しく、速やかな死

【佐藤亜紀/激しく、速やかな死(199P)/文藝春秋・2009年(090716-0719)】 内容(「BOOK」データベースより) 危険を孕まぬ人生は、生きるに値しない。サド侯爵、タレイラン、メッテルニヒ夫人、ボードレールetc.―歴史の波涛に消えた思考の煌きを華麗な筆で描…

カズオ・イシグロ/夜想曲集

自分はテニスをやるわけでも好きなわけでもないのに、深夜のウィンブルドン中継は学生時代から何となく見る習慣になっている。毎年6月の恒例行事みたいなもの。 もう十数年も前だと思う、「あ、また雨なんだ」テレビをつけたらカバーをかけられたセンターコ…

星野智幸/虹とクロエの物語

【星野智幸/虹とクロエの物語(184P)/河出書房新社・2006年(090709-0711)】 虹子と黒衣(クロエ)はボールを蹴り合うことで心を通じ合う子供の頃からの親友だった。二人だけの「合宿」で長崎県沖の孤島を訪れて「ユウジ」に出会って以来、互いに距離を置いて…

梨木香歩/沼地のある森を抜けて

糠床から幽霊のように人が現れる話だと聞いて敬遠していたのだが、『遠くの声に耳を澄ませて』の例の[土鍋で飯を炊く女]が糠床も大事に持っていたので、読んでみる気になった。(←どんな理由だよ!?) 【梨木香歩/沼地のある森を抜けて(406P)/新潮社・2005…

ミーシャ/ホロコーストと白い狼

6月、7月と土曜出勤が続くので、今日は代休を取った。名古屋まで行って映画を観てきた。地元にはショッピング・モールに併設されたシネコンが3つもあるのに、ハリウッドものとテレビドラマの映画化作品しかやってないお粗末な状況。マーチン・スコセッシ…