2009-05-01から1ヶ月間の記事一覧

柳広司/虎と月

四月に『シートン(探偵)動物記』を読んだ。『トーキョー・プリズン』や『ジョーカー・ゲーム』が話題になってもハード・ボイルド調は自分の趣味ではないと敬遠していたのだが、この作家にこういうパスティーシュの愉快な一面があるのを知って、実に意外だ…

中山可穂/ケッヘル(上)(下)

刊行時に読み逃していた作品が待望の文庫化!キース・ジャレットとチック・コリアが一緒にモーツァルトを弾くのをNHKで観たのは二十歳前後だったか。いつもは感情のおもむくままにエモーショナルな演奏をするキースが神妙な面持ちでかしこまり、楽譜と指…

中村文則/何もかも憂鬱な夜に

【中村文則/何もかも憂鬱な夜に(138P)/集英社・2009年(090517-0519)】地方の拘置所の刑務官である「僕」は、孤児として施設で育った。子供のときから心の奥に暴力衝動を抱えていて、表面上は厳格な看守を装いつつも、現在でもときどき発作的に暴発しそうに…

C.ジョーンズ/絶対帰還。

現在も日本人宇宙飛行士・若田光一さんが滞在している国際宇宙ステーション(ISS)の話題も、ここのところ音沙汰がない。3月のシャトル・ディスカバリー打ち上げとISSでの活動開始時はあれほど報道があったのに。 といっても、自分も宇宙には大して関心がない…

K・レヒアイス/ウルフ・サーガ(上)(下)

『オオカミと生きる』をゲットした古本屋でまたまた見つけてしまった!ブック・オフとかのチェーン店ではないから、もしかしたら同じ人が手放した本かもしれないと思って両方の匂いを確かめてみたら、同じメスオオカミの匂いがする! 地元に女オオカミ族がい…

斎樹真琴/十四歳の情景

基本的に小説でもドラマでも子供の話は好みではない。自分の思春期を思い出すと気恥ずかしいし、もはや「瑞々しい青春の輝き」的なものを小説に求める年齢でもない。それと、だいの大人が少年少女を主人公に書いてちゃだめだろ、同年代を納得させるものを書…

ありがとう清志郎!

再入院したと聞いたとき、もしかしたらもう永くはないのかもしれないと漠然と思った。よりによってロック歌手が癌に喉を冒されるだなんて、克服できたとしても元のように歌えるわけがないと思っていたから、清志郎の復活は奇跡的なことに思えた。 あのとき、…