2011-01-01から1年間の記事一覧

梯久美子 / 昭和二十年夏、子供たちが見た日本

七月最終週から東京・中日新聞夕刊に梯さんの連載「100年の手紙」が掲載されている。百年前、1911年(明治44年)から現在までの歴史の真実を証言する貴重な書簡を読んでいくシリーズ。これも素晴らしい成果になりそうな予感がしている。 【 梯 久美子 / 昭和…

梯久美子 / 昭和二十年夏、女たちの戦争

八月恒例の‘終戦の日の読書’。 梯久美子(かけはし・くみこ)さんの「昭和二十年夏」シリーズを読む。 【 梯 久美子 / 昭和二十年夏、女たちの戦争 (250P) / 角川書店・2010年 7月 (110805−0808) 】 ・内容 わたしが一番きれいだったとき、わたしの国は戦争…

佐々木中 / 切りとれ、あの祈る手を

【 佐々木中 / 切りとれ、あの祈る手を _〈本〉と〈革命〉をめぐる五つの夜話 (214P) / 河出書房新社・2010年10月 (110731−0804) 】 ・内容 取りて読め。筆を執れ。そして革命は起こった。思想界を震撼させた大著『夜戦と永遠』から二年。文学、藝術、革命…

思想としての3.11 、朝日ジャーナル増刊

東京新聞7月28日朝刊 「資源エネルギー庁の原発情報監視 本年度7000万円で契約」 こんな仕事があるとは…。こんな税金の使い道があるとは…。ご苦労さま。原発ビジネス万歳。で、こういうことはエネルギーの問題なのだろうか。民主主義の問題ではないのか…

ハ・ジン / 待ち暮らし

信頼するRさんとHさんの感想を読んで面白そうだったので自分も読んでみた。 【 ハ・ジン / 待ち暮らし (350P) / 早川書房・2000年 (110724−0728) 】WAITING by Ha Jin 1999 訳:土屋京子 いろいろ言いたいことがあるのは楽しんで読んだからに違いない。ただ…

高校女子サッカー / ふり向くな、君は美しい

なでしこ世界一から一週間。磐田市で毎年恒例の全国高校女子サッカー選手権が始まった。 昨年と一昨年は仕事で観戦できなかったので三年ぶりだが、個人的には夏の風物詩といえるこの大会。ひたむきでクリーンで、そして、ちょっぴりせつない。この大会にはサ…

乾石智子 / 夜の写本師

【 乾石智子 / 夜の写本師 (315P) / 東京創元社・2011年 4月 (110718−0722) 】 ・内容 右手に月石、左手に黒曜石、口のなかに真珠。三つの石をもって生まれてきたカリュドウ。だが、育ての親エイリャが殺されるのを目の当たりにしたことで、彼の運命は一変す…

なでしこからの贈り物

7月18日、午前三時から生中継を見守る。1-1で延長突入時点で五時半。出勤の時間だ。もうあとは祈るだけ。テレビを消して家を出た(代表ジャージを着て)。 平静を装いつつ仕事をしていると、同僚が手招きしている。「ほれ」ケータイの画面にジャパンブルー…

原発のウソ、私たちはこうして「原発大国」を選んだ

‘電力詐欺’と‘原子力帝国主義’、‘原発の犬’ 【 小出裕章 / 原発のウソ (182P) / 扶桑社新書・2011年 6月 (110618−0623) 】 原子力研究にたずさわりながら、いち早くその危険性を警告してきた科学者による書き下ろし。専門家として今回の福島の事故を防げなか…

ゲイル・キャリガー / アレクシア女史、倫敦で吸血鬼と戦う

最近こういう表紙が多いなーと思いつつ手に取り、買おうかどうかけっこう迷ったこの本。 著者紹介には、本書は「ジェイン・オースティンとP.G.ウッドハウスに影響を受けて」書かれたとある。それって「お読みなさい!」ってことだよね。 【 ゲイル・キャリガ…

奥泉 光 / 桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活

五月の刊行直後に買った奥泉氏の新刊をやっと読んだ。 【 奥泉光 / 桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活 (365P) / 文藝春秋・2011年 5月 (110625−0628) 】 ・内容 日本一下流の大学教師、「クワコー」こと桑潟幸一と女子大生探偵たちの活躍を描くユーモア…

エスパルス17、18節

【 6月22日 / Jリーグ第17節:清水 2−3 川崎 】 立ち上がり15分までに2点のビハインド(稲本、山瀬)。でも川崎戦に限っては、これでかえって面白くなったと思ったのだが…… アレックスと小野のPKで追いつく。これでイケイケムードに。 枝村は2本惜しいシ…

K.J.ファウラー / ジェイン・オースティンの読書会

J.オースティンのネタで引っぱる。本当は映画化されたこの作品も「読んでから見る」企画していたのだが、めんどくさいのでやめた。 【 カレン・ジョイ・ファウラー / ジェイン・オースティンの読書会 (353P) / 白水社・2006年 (110618−0623) 】The Jane Austen …

福島原発メルトダウン、原子力神話からの解放

少し前から合間の時間にちょっとずつ原発関連本を読んでいる。 細かい感想は書かないけど、福島第一原発事故は現在進行中の事態でもあるので、覚えておきたいこと、気になることは記しておこうと思う。 【 広瀬隆 / 福島原発メルトダウン (190P) / 朝日新書…

セス・グレアム=スミス / 高慢と偏見とゾンビ

映画も見たかったんだけど、『高慢と偏見』を読んだのはこれを読んでみたかったから、というのもある。 『高慢と偏見とゾンビ』を読むのに『高慢と偏見』を読んでないのではまずいではないか、というわけである。 【 セス・グレアム=スミス / 高慢と偏見とゾ…

ランナウェイズ

シャネルズではない。デル・シャノン‘悲しき街角’でもない。映画『ランナウェイズ』を観てきた。東宝シネマで夜一回のみの上映。観客は自分も入れて、たった四人だった。 http://www.runaways.jp/ 70年代に彗星のごとく登場し、泡の如く消えた元祖ティーン・…

エスパルス15節

【 6月15日 / Jリーグ第15節:清水 2−1 山形 】 震災の余波で土曜出勤が続いていて、遅ればせながら今季初参戦。自分にとっては今日が開幕。 勝つには勝ったが、やはりボランチのスペシャリスト不在が最大の泣き所か。 時間がないので画像だけアップ。

ジェーン・オースティン / 高慢と偏見

上下巻600ページ。一日100ページを目標に読み始める。幸せな結婚を夢見る淑女のお話なので、自分には関係なさそうな内容。一週間では無理かもしれないと思っていたのに、いざ読みだすと、これがなかなかどうして面白い。A型読書エンジンにばっちり火が点い…

イアン・マキューアン / 贖罪

小説と映画DVDを「読んでから見る」企画。英国女優キーラ・ナイトレイがヒロインを演じる文芸作品を二本。 あくまでも小説メインがオオカミ族の流儀。べつにキーラ・ナイトレイを見たいからついでに原作を読む、というわけではない。 【 イアン・マキューアン…

P.G.ウッドハウス / ジーヴズの事件簿 才智縦横の巻

【 P.G.ウッドハウス / ジーヴズの事件簿 才智縦横の巻 (260P) / 文春文庫・2011年 5月 (110525−0527) 】THE CASEBOOK OF JEEVES by P.G.Wodehouse 編訳:岩永正勝・小山 太一 ・内容 20世紀初頭のロンドン。気はいいが少しおつむのゆるい金持ち青年バーティ…

カズオ・イシグロ / わたしを離さないで

「読んでから見る」のがオオカミ族の流儀なので、四月に放送されたNHK・ETV特集「カズオ・イシグロを探して」はとりあえず録画だけしておいた。とっても見たいのに、まずは本を読まなければこのビデオは見てはいけないという変なプレッシャーを自らに課して…

今村楯夫 / ヘミングウェイの流儀

雑誌『Pen』4/15号は今年没後五十年の「ヘミングウェイ、再び」。 【 今村楯夫、山口淳 / ヘミングウェイの流儀 (230P) / 日本経済新聞出版社・2010年 3月 (110516−0519) 】 ・内容 ヘミングウェイの小説にはさまざまな“モノ”が描かれている。一方、米ボスト…

ジョー・ウォルトン / 英雄たちの朝 -ファージングⅠ-

この「ファージング」シリーズは歴史改変小説ということになっている。第二次大戦で戦ったナチスドイツと英国が同盟を結ぶなんてありえないと自分は思っていたのだが、先日ひまつぶしに読んでいた、これとはまったく関係のないアラブ関連の本で、興味深い史…

開高健 / ロビンソンの末裔

久しぶりに開高健を何か読もうと思い、ほとんど忘れかけていたこの作品を選んだ。再読だが(やっぱり)止まらなくなってしまった。 【 開高健 / ロビンソンの末裔 (190P) / 新潮社(開高健全作品 小説4)・1973年 (110506−05010) 】 ・内容 終戦直後の荒廃…

ノーマン・メイラー / なぜわれわれは戦争をしているのか

【 ノーマン・メイラー / なぜわれわれは戦争をしているのか (131P) / 岩波書店・2003年 (110502−0504) 】WHY ARE WE AT WAR? by Norman Mailer 2003 訳:田代泰子 ・内容 アメリカはなぜアフガニスタンを破壊し、イラクを侵略したのか? なぜ新たな標的を探…

菅 淳一 / 1967 クロスカウンター 

四月はまずこの作品を読む予定だったのに、かなり脱線というか回り道してしまった。いつのまにかボクシング月間になってしまった… 予感はしていたんだけど、これが良かった! この本も本年ベスト級の一冊。 【 菅 淳一 / 1967 クロスカウンター 雑草と呼ばれ…

ノーマン・メイラー / ザ・ファイト

今月始め、たまたまテレビでボクシングの番組をやっていたのを見た。1980年、四たび王座復帰を目指す、しかし明らかに衰えの目立つモハメド・アリと、当時絶頂期にあったチャンピオン、ラリー・ホームズの一戦を追ったドキュメンタリーだった。 タイトルマッチ…

藤島 大 / 楕円の流儀

【 藤島 大 / 楕円の流儀 (376P) / 論創社・2011年 1月 (110411−0415) 】 ・内容 独自性の喪失、無策への失望、再生への期待…ジャパンのこの10年は“空白”なのか。日本ラグビーの危機とその可能性。ジャパン、早稲田、明治などの他、新聞・HP掲載コラムも精選…

藤島 大 / キャンバスの匂い

映画『ザ・ファイター』を観てきた。 うだつの上がらない三十代のボクサーが家族とのしがらみ、葛藤を振りはらって、めぐってきたチャンスに喰らいつこうとする。鼻の奥がつんとする瞬間が何度かあった。実在のボクサー、ミッキー・ウォード役マーク・ウォール…

ジャイルズ・ブランドレス / オスカー・ワイルドとキャンドルライト殺人事件

【 ジャイルズ・ブランドレス / オスカー・ワイルドとキャンドルライト殺人事件 (408P) / 国書刊行会・2010年 6月 (110401−0407) 】OSCHR WILDE and the Candlelight Murders by Gyles Brandreth 2007 訳:河内恵子 ・内容 1889年、ロンドンのとある建物の一…