SIONライブ


SION アコースティックLive 2011〜SION with Bun Matsuda〜 / 11月25日 浜松窓枠】



一年ぶりのSIONライブ。最近めっきり着る機会が減ったカッコいいシャツとブーツを選んで、窓枠へ。
場内は昔のフォークロックみたいなベルベッツが流れていて、去年もそうだったなと思っていると、やっぱり去年と同じ1989年のルー・リードのギターに合わせて二人が登場した。


          


SIONは少し痩せたように見えた。急に寒くなったからちょっと心配していたのだけど、喉の調子は悪くないみたい。
季節はずれの‘夏の終わり’で始まって、それから“NAKED TRACKS 4”からの新しい曲が披露された。


通販とライブ会場限定で販売されるNAKED TRACKSはSION宅録盤。文字どおりに「むき出し」な歌がむき出しなまま収録されている。
‘恥を知れ’‘もう奪わないでくれ’‘この街の力まで塞がないでくれ’…… タイトルの並びを見ても、どんな気持ちで書かれた楽曲なのかは想像できた。


心情は真情でなければならない。
今年。不信の上にさらに不信を上塗りするかのような浮薄な言葉ばかりが躍っている今、彼の口から発せられたストレートな言葉の弾丸は胸に刺さった。
火急の土壇場でなお良い悪いの評価を気にして小賢しい態度をとろうとした、われわれ。2011年の終わりにSIONの生の声に触れられたのは、本当に良かった。



とはいえ、ライブ全般がヘヴィだったわけではなく、懐かしい歌もまじえて、中年の悲哀を涙ぐましいお茶目な笑いに変えて、楽しい二時間余りを過ごしたのだった。
懐かしいといえば、昔好きだったレコード時代のこの曲が聴けた。


  おとぎ話は買ってやれない こんな俺を愛せるかい?
    新しい夜明けのそばには おまえの眠れる場所があるように


‘ハードレイン’。1stにも収められていたシングル‘俺の声’のB面。最初期のSIONが2011の彼とあまり変わってないのだった。


          


原曲より早いテンポで、血管がブチ切れそうな勢いでこれが歌われ、続いて‘ハレルヤ’が演奏され、それから‘マイナスを脱ぎ捨てる’へと続いた。
さすがに息が切れてきつそうだったけど、‘マイナスを〜’は文さんも大事に大事に演奏しているのがわかって、やっぱり特別な曲なのが伝わってきた。


     


昨年のライブから、もう一年が過ぎた。忘年会シーズン、クリスマスのイルミネーション。いつのまにか駅前で弾き語りをやっているのは女の子ばかりになっていた。少しぐらい歌がうまくたって、そんなのたいしたことじゃないんだぜ、お嬢さん? 自分にとっての‘冬の風物詩’は、窓枠のSION
そんな柄ではなかったはずのSIONがチャーミングな魅力を増して生きている。
次はホーム、山口。参戦するみんな、どうか‘煩悩ブラザーズ’を暖かく迎えて、素敵な時間を共有してほしい。それが次の福岡、名古屋、大阪へとつながりめぐって、また新しい年へと続いていく。
元気で、また歌いに来てくれよ、SION。来年も待ってるから。