エスパルス ナビスコ準々決勝 / 影のMVP

【9月08日 / ナビスコカップ準々決勝第2戦:清水 0−0 FC東京 /‘影のMVPと幻の激ロコ’】



九州から日本海に抜けた台風9号が北陸から本州中部を横断…  今朝の予報だと静岡県中部は今夜その台風まっただ中。帰れなくなった場合、清水で一泊して、明日始発で帰って会社直行も想定して出発。
雨中の試合観戦はべつにかまわない。雨が激しければ激しいほどエスパルスが有利になるだろう。激しく降れば降るほど自分も燃えるし(オレが燃えても仕方がないのだが…)。 ぐしょ濡れのヨンセンはセクシーだし
鹿島との首位決戦を制した8月7日から早一ヶ月。今日はどしゃ降りの中であの日以来の熱い‘激ロコ’やる気満々でアウスタに乗り込んだのだが…
雨は降っているけど、思っていたほどじゃない。暗いしいかにも台風の空なんだけど、そのうち雲がちょっとずつ切れ始めた。富士山がちょこんと雲の帽子をかぶっていた。


     


六時頃には、なにやら壮烈な雲行きに… パルちゃんショーの前には駿河湾上に巨大な虹が、つかの間かかった。


     


さすがに出足が鈍かったサイドスタンドも試合開始前になってようやく埋まり始めた。ピッチもほとんどドライに見える。さすがアウスタ


     


先週のアウェー第1戦は 1-1。スコアレスドローなら清水が勝ち抜けという状況で迎えた今日の試合。
落ち着いて試合に入ること。それさえできれば大丈夫だろうと思っていた。最終ラインから可能性の低いボールを入れるのは控えて、ボールを動かしながら機をうかがう。まずは無理をせず、じっくり構えて相手にカウンターを許さない戦い方は、今日の試合を通じて徹底されていた。
実質はヨンセンのワントップのような形。ヨンセンが開けた中央のスペースに時おり枝村や小野、テルがタイミング良く飛び出すのだが、残念ながら良いボールは供給されなかった。裏を狙った選手がいたら無理してでも使う。その繰り返しの圧力が相手にはプレッシャーになっていくのだが、今日の清水はそれをリスクと判断したのか、勝負パスは少なかった。ヨンセンに収まってから出て行く、という形でしかシュートに結びつかなかったが、ヨンセンは一人でも相手DFの脅威となり続けた。


     
     


守備時の高さでもこちらに分があった。特に今日は平岡の強さが目立った。


     


藤本がいない分、小野はいつもより少し前目でのプレーを心がけているように見えた。
兵働と小野が近くで絡むとチャンスになる。必然的に左サイドの仕掛けが増えて逆サイの枝村はやや孤立気味に。消極的というのではないが大きな展開は影を潜めて、相手が待ちかまえるエリアでの攻防に終始した。


     
     
(このあと小野は引きずり倒されるが、ノーファウル。ここはシャツを引っ張ることにかけてはJリーグ随一。他にも‘証拠写真’がたくさんあった)


     


相手としても失点は絶対に避けたい試合。名ばかりの「元代表FW」を持っていても、決定力はリーグ下から数えた方が早いのだから1点が致命傷になるチームだ。前半は抑えて後半勝負に出てくるのも想定内だった。
自陣ゴール前でピンポン玉のようにボールが跳ね返ったり、ポストに助けられたりもしたが、負けないときにはたいがいこんなものだ。しょせん今季一試合平均1.00得点、総得失点差-4の相手(一応は前年王者だが)なのだから、まったくデータどおりの妥当な試合結果だったとも言える(Jリーグ21節までのデータから)。
清水が気にすべきは相手がどうこうよりも、攻撃陣と守備陣の意識のずれや選手間の迷いだった。どう戦うのか、どうすれば勝って終われるのか、全員の共通理解が現実的なプレーとしてピッチで表現された分、清水が一枚上だった。
「このチームは守るチームじゃない」 試合後のインタビューで小野は話していたが、守備の枚数を増やすのではなく、原と長沢を送りこんで最後まで「一発」の威力をチラつかせたのも効果があったと思う。



終了間際、相手はGKまでゴール前に上げての全員攻撃態勢。大男たちの中央に陣取ってヘッドで弾き返すのはテル!


     


すかさずダッシュ、自らそのセカンドボールにチャレンジして梶山をつぶした!


     


やはり終盤、太田の裏をケアして天敵・石川の直線勝負にひるまず飛びこんで突破を阻んだのも彼だった。前半はたびたび攻撃にも顔を出したが、後半は絶えず本田の周りを広く巡回しつつ、危険な場面にいち早く殺到して立ちふさがった。エスパルスにはバイタルエリア手前でチェックに行かずに相手を見てしまう悪癖があるが、今日はテルがその不安を解消した。
岡崎と藤本の不在はたしかに攻撃面の物足りなさを感じさせたが、逆に守備面でそのマイナスを相殺したのがテルだった。日曜の天皇杯・ホンダ戦にも途中出場した彼(18歳でエスパルスに入った彼が8/31に36歳になった…!)が今日の難解なチームバランスを最適化した。個人的には今日の影のMVPはテルだと思っている。


表のMVPは西部。ラスト十分、混戦状態からのビッグセーブ連発。「忙しかったですけど」のコメントに充実感がにじむ。彼の場合、守備機会が連続する今日のような状況の方が真価を発揮するのには複雑な気分にもなるのだが… 


     


0-0狙いは危ないからなんとしても先制点をと誰もが思っていたことだろう。だが、まずは無失点を目指したのが結果的には正解だった。先の天皇杯も今日のYNCも、カップ戦ならではの戦い方で勝った。「いつものように」というけれど、状況は「いつも」どおりではない。したたかな、生々しい現場を見せつけられた気がする。終わってみれば、あらためて藤本と岡崎の存在の大きさも痛感させられた。
第一戦での岡崎のあのゴール、あの1点… 裏のMVPは岡崎ということになる。この1点がそのまま相手FWとの差、ということでもある。

準決勝の相手は広島に決まった。今度もアウェイ第2戦で代表が不在になる。まずは9/29のホームできっちり勝ちたいが、リーグの名古屋(H)・鹿島(A)戦の間でまたも中2日での三連戦だ。結局、リーグとカップ戦が入り混じる中2日をどうしのぐかが今季終盤にかけて大きなテーマになってきそうである。ここを一気に行けるか? 今月末の一週間に大きな山がやって来る。
ナビスコのその先には… 自分のシナリオでは「決勝でダービー」である。川崎でもいいけど。


‘激ロコ’はオカも淳吾も、サポーターみんなもいるときにやればいい。(でも、台風の中でやりたかったなぁと、ちょっと悔しかったりもしている←子供?)


     



雨が上がっていたので無事に帰れると思ったら、県東部〜神奈川西部では豪雨だったらしく、新幹線は一時間以上の遅れ、東海道線も大幅な遅れで、帰宅したのは24時前だった。