ドメスティックに小野伸二化

ワールドカップはいよいよ佳境に。明日から準々決勝に突入。
好ゲームの多い今大会を満喫しながらも、エスパルスサポーターたる者、ただ漫然とリーグ再開を待っているわけではない。


こんなものを買ったり…
     

  「オーノシンジ、オーノシンジ、オーノシンジ!」


こんなものも買ったり…
     

  「オーノシンジ、オーノシンジ、オーノシンジ!」


こーんなものまで買っちゃったり…
     

  「オーノシンジ、オーノシンジ、オーノ……?」


…まあアシックス小野モデルじゃないが(あのブーツは特注らしい)、プーマの定番スニーカー「スウェード」のレアなオレンジVer.をGET!
エスパルス、というよりは「小野伸二化」を進行させている。(あとは坊主にするだけだ)
7/17のダービーに向けてこっちの準備は万端だ!


それから、この本も最近の収穫。これ一冊で三杯はおかわりできる静岡限定・神本!
名勝負数え唄…望月哲也の奇跡の40mロングシュートがよみがえる!三羽ガラスに小野やテルの高校時代の写真も!
     

ワールドカップのしびれるゲームを見ながら、思いっきり静岡サッカーにも浸っている。



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日本代表はラウンド16でパラグアイPK戦の末、敗れた。


FIFA公式サイトに掲載されたデータを見ると
 ・走行距離(Distance)は32チーム中2番目(トップはオーストラリア)
 ・パス成功率(Passes Completion Rate)は32チーム中、下から2番目(最下位はニュージーランド。日本はグループリーグ敗退のホンジュラス北朝鮮をも下回った)
 ※これはグループリーグ三戦終了時点のデータ


ラウンド16終了時では
 ・走行距離は16チーム中2番目(トップはアメリカ。延長まで120分を戦った日本より、ガーナ戦のアメリカがいかに90分で走り抜いたかを物語っている)
 ・パス本数、パス成功率ともに16チーム中、最下位(パス本数はダントツで最少)
というデータが出ている。


たしかに「よく走った」ことは事実だろう。だが、‘フリーランニング’といえば聞こえはいいが、肝心のパスとの絡みからいえば「無駄走り」ばかりだったことは明らかだ。
走行距離データはポゼッション時と非ポゼッション時とに分けて計測されてもいて、日本の場合、非ポゼッション時のランニング距離がボール保持時のそれを大きく上回っている。要するに、守備に走りまくったということだ。「一人あたり1キロ余分に走れば選手が一人多いのと同じことになる」と岡田監督は走力のアドバンテージを語っていたが、悲しいかな、そのプラス一名は後ろ向きに走るばかりだった。


もちろんデータが全てではない。しかし、こんなサッカーで本当に良かったのかという疑問はぬぐえない。
本職ではないFWのワントップで戦った四試合は、はたして日本の若者(特に、まずはストライカーに憧れるサッカー少年たち)に本当に夢を与えただろうか? 日本の試合が退屈だったのはワールドカップの舞台でグローバルスタンダードを無視したからではないか? この戦い方に次の四年、さらに先の未来へと継承されて日本の伝統となりうる核心があっただろうか? そして最も強く問いたいのは、あれが日本の真の実力だったのかということだ。岡田監督は選手たちが本来持っている能力をフルに発揮させたのかということだ。
そう考えると監督の責任というものは、ただワールドカップの成績だけで量れるものではない。ジーコの四年、オシムと岡田の四年。韓国がチャレンジングなサッカーでスタイルを確率しつつあるように見えるのに対し、日本はその場しのぎの点数稼ぎを続けているように見えて仕方がない。
「決定力不足」の解消がFW不在の布陣だったとは苦肉の策も窮まれり。点を取る競技なのに点取り屋を使わない。FW軽視の世界基準にそっぽ向いた不可解なチーム。北朝鮮並みにミステリアスなチームはある意味で「世界を驚かせた」。決勝トーナメントに残ったとはいえ、今大会における日本の印象はその程度だろう。


結局のところ、日本のジレンマはアジア予選のやり方ではワールドカップ本選を戦えないということに尽きる。指揮官の直前の方針転換は、そのことを見据えたチームづくりに失敗した必然だったのではないか。 逆にそれがチームに一体感を生んだというのなら、それは怪我の功名と言うほかない。
斬るか斬られるかの舞台に殺し屋なし刺客なしの丸腰で臨んだのだから、あの程度のドラマしか演じられまい。「サムライ」の名が泣いてないか?
16強入りの監督ならば海外の代表から声がかかりそうなものだが、はたして岡田監督にオファーは届くだろうか? 選手が海外志向なのに監督はとことんドメスティック。パラグアイ戦はそんなチーム(と監督)の限界だった。
「あと一歩及ばない…」そんな勘違いな感傷を抱かせないためにも、いっそPK戦を勝ち残ってスペインに虐殺された方が良かったのではないかとすら思ってしまう。

 …………

とはいえ、自分だって国の代表よりローカルチームへの愛情の方がはるかに強いのだ。
地元、国内リーグ、W杯地域予選、W杯本大会。本当は全部つながっているはずなのに、それぞれを断絶した目で見てしまっているのは確かだ。
清水>世界>日本。こんな倒錯した見方を、このワールドカップを機に少しずつあらためていこうと思う。