エスパルス2013 : 天皇杯二回戦 / お手本

【 8月28日 / Jリーグ第22節 : 清水 4-3 鹿島 / ‘アンチ・フットボール’ 】



キックオフから一度もボールに触れることなく十五秒で失点。六分で2失点を喫す。勝ったとはいえ、ひどい試合。
どういう練習をしているのか。というか、どういう練習をすれば、こういう無様なチームになるのか。
セットプレー時の混乱は目を覆うばかりだったが、最後まで修正されることはなかった。


     
     
     


10番と8番が両サイドバックボランチタイプのMFが三人。
本職を軽視してクリエイティブなサッカーなんて期待するだけ無駄。首をひねりっぱなしの90分だった。


     
     

おかえり、拓也!




【 9月7日 / 天皇杯二回戦 : 清水 2-0 藤枝MYFC / ‘お手本’ 】



神様のいたずらか、余計なお世話か。今年の天皇杯は「静岡県代表」藤枝MYFCとの‘サッカーの街’対決で始まった。
エスパルスのシャツを着てはいるものの、心情的には斉藤俊秀市川大祐がいる県代表にも声援を送りたい。


     


40歳、この人の奮闘を見よ!


     
     


後半30分、市川の登場にスタンディングオベーションコイントスに勝ったMYFCがエンドを選択したのは、後半、市川をかつての庭、アイスタの右サイドを走らせるためだったのか?
長いリハビリ明けの不安もあっただろう。緊張もしただろう。だが最初のプレー、落ち着いてボールをコントロールした市川は低くて速い完璧なクロスをファーサイドに通した。錆びついてなんていなかった。「決めろ!」味方FWへのメッセージをほとばしらせて逆光のグランド上を鋭く切り裂く、惚れ惚れするような光跡が目に焼きついた。
そして、美しい瞬間が訪れた。


     
     


三日前に小野伸二も立ったピッチに、今日は俊秀とイチが立った。大前と本田拓也が戻ってきた。ヨンセンノルウェー代表に復帰したというニュースが届いた。
歴史の轍を踏みはずさぬように、エスパルスを担当するサッカーの神様がメッセージを送ってくれている。歴代の名手たちが落とした汗を吸って、ここの芝生は生きている。アイスタのピッチに立つための厳しい覚悟とプライドを、藤色の2番と25番が見せつけてくれた。
そして、続けていれば、必ずこういう日が来るのだということも。


     
(磐田・ゆめりあサッカー場、2002年日本代表ベースキャンプ地の記念碑より)

黄金世代はまだまだ健在。コンディションさえ整えば市川もまだまだJの舞台でやれるはず。頑張れよ、イチ! また会おう!