エスパルス2014:29、30節 / 一進一退


【 10月22日 / Jリーグ第29節 : 清水 2-1 新潟 / ‘ノヴァへの道’ 】


前半、互いに右サイドからチャンスをつくる。清水はノヴァコヴィッチが右に流れて、中央の空いたスペースに石毛や六坂が走りこんで好機をつくったが、逆に元紀が決定機に絡めなくなっているのは気がかり。CKを平岡がニアで流して、ファーに詰めていた石毛が押しこんで先制。


          
          
          


後半、アンカー拓也の横をFWへの縦パスをポンポン通され、ピンチが続く流れで追いつかれた。なおも勢いは新潟。しかし、選手たちはもちろん、スタジアムの誰もがこのままドローでいいとは思っていなかった。
ギリギリまで待って投入された村田が右サイドを突破、ためてためて、ノヴァのマークが離れるまで待ってクロスを送った。


          
          


雨中の消耗戦を制して、中三日でホーム広島戦。疲労とストレスがある中、どんな布陣で臨むか楽しみだ。




【 10月26日 / Jリーグ第30節 : 清水 1-3 広島 / ‘スペシャル・ワン’ 】


個人的にはノヴァコヴィッチを休ませて、FC東京と名古屋を破った天皇杯での‘機動力サッカー’を期待していたのだが、ノヴァを先発起用、藤田息吹を使ったダブルボランチだった。
相手の思惑どおり、各駅停車、短距離リレー的なショートパスだけでダイナミックな動きを封じられて打開できない。サイドに人数をかけさせられて、肝心の中の枚数は常に不足していた。そうこうしているうちに速攻を受けて先制を許した。


          
           
         

目の前で見せつけられた広島の1点め。Jリーグゴール集でこれまでに何度も見ていた佐藤寿人と石原の鮮やかな連係。続く2点め3点めも、二人か三人で決めきってしまう広島の「型」の効率と精度は、手数をかければかけるほどゴールから遠ざかっていくような清水の攻撃を祈る思いで見つめていた側からすると、正直に言って羨ましいほどだった。これで高萩もいたらもっと失点していたかもしれない。1ゴール1アシストをいずれも職人的なワンタッチプレーで決めてみせた寿人には格の違いをまざまざと感じさせられた。
近年の広島の充実ぶりと対照的な清水のチームづくりの拙さを、どうしても思わずにいられない。岡崎&ヨンセン退団後、大前・高木俊と毎年変わる外国人1トップでFWを構成してきたこの四年、スタイルを確立できないままに現在のこの苦境である。


          


広島のみならず、対戦チームは清水の攻撃陣にさほど脅威を感じていないだろうし、逆サイドがぽっかり空く弱点の攻略法も知れ渡っているだろう。相手には「型」があり、こちらにはない。竹内と浩太が戻ってきたのはマイナスではないにしろ、いまチームに必要なのは「早さ」であって、彼らはその演出者ではない。「型」がないのだから流動的な、むしろ不定形であることを武器とするような、型破りな奔放さを見せて欲しいと自分は思う。そういう部分がなければここ何試合かのように‘清水のスペシャル・ワン’のはずの大前元紀も普通の選手に成り下がってしまうのではないか。
もはや戦術やシステムをうんぬんする段階ではないのだが、ここ数年のツケを思えばこの試合結果は妥当なもの。ホームで落とした星は絶対にアウェーで取り返してこい。
ひと月後、リーグの大詰めに天皇杯準決勝を挟んだ三連戦がある。大榎はそこでどんな決断をするだろうか。