エスパルス2014:天皇杯準決勝 / この道


【 11月26日 / 天皇杯準決勝 : 清水 2-5 G大阪 / ‘味スタ劇場’ 】


週末のリーグ戦をふまえてどういうメンバー構成で臨むか。ガンバも主力を休ませるのではないか、だとしたら必ず勝機はある、「もしかしたらアジスタ劇場も!?」と裏を読んだつもりで勇んで参戦したのだが、えげつないスタメン表を見て驚いたのだった。「話と違うじゃないか!」― もちろんそんな話など初めからなかったのだが。
決勝で対戦するのが昇格プレーオフまで戦うJ2チームであることを考えれば、ガンバにとってはここが‘事実上の決勝’。まずはナビスコ杯に続く二冠めの権利を確保して獲得賞金を上積みする。健太お得意の「費用対効果」という言葉が脳裏をよぎった。


          
          


加賀美と高木善朗のゴールはエスパルスを勇気づけた。
が、後半はフィジカルで段違いに勝るパトリックにことごとくボールを収められて、なかなかラインを上げきることができなかった。石毛と拓磨でボランチを組んだのだが、ここには一人タフな専門職を置きたかった。


          


この天皇杯三試合はノヴァコヴィッチ抜きで戦った。いずれの試合でも機動力をいかして(速い、ではなく)早い攻守からゴールを奪った。大榎がシーズンを通して本当にやりたいサッカーは、この日のユース組が中心になって見せたものだろう。そして、そのアジリティの高さは日本代表が目指すところと一致する。最近どこかの首相がやたらと「この道しかない」と口にしているが、エスパルスには確かに進むべき「この道」があり、それを表現できる理解者たちが集まっている。大榎の哲学がチーム全体に浸透したエスパルスが見たい。来シーズンJ1でそれを見せるために、そしてリベンジの舞台に上るために、今シーズンのラスト二試合がある。「もう少し積極的にプレーしていれば…」という談話はもういらない。


          
          


格負けした試合ではあったものの、出場機会に恵まれない若手が片鱗を見せた試合でもあった。タイトルを目指すうえでは、「漁夫の利」的な、千載一遇のチャンスにも思えたのだが、残留争いをしながら勝ち残れるほど甘くはなかった。
来季、北川が加わって、わずか一つか二つのFWにユースから昇格の三選手(柏瀬、加賀美、北川)が顔を並べることになる。ノヴァコヴィッチの去就はわからないが、長沢がいて瀬沼、金子もいてレンタル組もいる。選手層の面で、明らかにダブついてるポジションと控えが薄いポジションの差が大きすぎる。選手間の残留争いをもっと厳しいものにして、チーム構成も一新されなければならないだろう。
そして真に頂を目指すのにふさわしい、大榎ならではの、「これぞ清水」というわれらのチームを作りあげて、2015年こそ旋風を起こそう。あのカッコいい黄×橙の新ユニフォームはそのためにデザインされたのだから。
負けたけど、ますますエスパルスが好きになった。これからも「この道」を行く。