エスパルス2013 : 天皇杯二回戦 / お手本

【 8月28日 / Jリーグ第22節 : 清水 4-3 鹿島 / ‘アンチ・フットボール’ 】 キックオフから一度もボールに触れることなく十五秒で失点。六分で2失点を喫す。勝ったとはいえ、ひどい試合。 どういう練習をしているのか。というか、どういう練習をすれば、こ…

馬場マコト / 従軍歌謡慰問団

8/14放送のNHKスペシャル「従軍作家たちの戦争」は日中・太平洋戦争に報道部員として従軍し〈兵隊・三部作〉を書いた火野葦平を中心に、戦地に派遣された文学者たち、いわゆる‘ペン部隊’の戦争協力を描いたドキュメンタリーだった。 ペン部隊同様に、国家総…

中脇初枝 / わたしをみつけて

【 中脇初枝 / わたしをみつけて / ポプラ社 (257P) ・ 2013年 7月(130827-0829) 】 ・内容 施設で育ち、今は准看護師として働く弥生は、問題がある医師にも異議は唱えない。なぜならやっと得た居場所を失いたくないから― 『きみはいい子』で光をあてた家…

コラム・マッキャン / 世界を回せ

今はなきワールドトレードセンター(WTC)屋上で命綱なしでの綱渡りを決行したフィリップ・プティ(Philippe Petit)のドキュメンタリー映画『マン・オン・ワイヤー』を見たのは2009年8月。 プティの伝説的パフォーマンスと9・11をつなぐ作品がいつか書かれるの…

開高健 名言辞典

最近おぼえた格言 ― ・ ゆっくり行く者は遠くまで行ける (出典不明) ・ 老人が亡くなることは、図書館が焼け落ちるのに等しい (アフリカの諺、らしい) ・ 永遠に生きる者のごとくに学び、明日死ぬ者のごとく生きる (ガンジー) ・ この天と地のあいだに…

コニー・ウィリス / 航路 (再読)

三年ぶりの再読。今回は流し読みして三日ぐらいで読んでしまおうと思っていたのに…… 【 コニー・ウィリス / 航路 / ハヤカワ文庫SF (上656P、下672P) ・ 2013年 8月(130815-0819) 】 PASSAGE by Connie Willis 2001 訳:大森望 ・内容 マーシー総合病院で、…

オルダス・ハクスリー / すばらしい新世界

【 オルダス・ハクスリー / すばらしい新世界 / 光文社古典新訳文庫 (433P) ・ 2013年 6月(130810-0814) 】 BRAVE NEW WORLD by Aldous Huxley 1932 訳:黒原敏行 ・内容 西暦2540年。人間の工場生産と条件付け教育、フリーセックスの奨励、快楽薬の配給に…

美智子皇后 / 橋をかける

少し前の中日新聞朝刊コラムに紹介されていた、こんなお話― 名古屋市の児童書専門店・メルヘンハウスに届いた、あるお母さんからの手紙。彼女は毎日、幼い息子に絵本の読み聞かせをしていた。自分も楽しいし、息子が本を好きになってくれたのは何より嬉しか…

新美南吉童話集

【 新美南吉童話集 / 岩波文庫(334P) ・ 1996年(130730-0805) 】 ・内容 新美南吉(1913−43)はわずか29歳、二冊の童話を出版しただけでこの世を去ったが、底抜けに明るく、ユーモアと正義感にあふれた彼の童話は、今日多くの人の心をとらえ、賢治、未明、…

松下竜一 / 暗闇に耐える思想

【 松下竜一講演録 暗闇に耐える思想 / 花乱社(158P) ・ 2012年 1月(130804-0807) 】 ・内容 月に一夜でも、〈暗闇の思想〉に沈み込み、今の明るさの文化が虚妄ではないのかどうか、ひえびえとするまで思惟してみようではないか ― 東大入学式講演、「暗闇…

細見 周 / 熊取六人組

【 細見 周 / 熊取六人組 反原発を貫く研究者たち / 岩波書店 (224P) ・ 2013年 3月(130727-0803) 】 ・内容 いわゆる御用学者とは対照的に、長年、「原発の安全性を問う」立場で研究を続ける研究者たちがいる。京都大学原子炉実験所の今中哲二・海老澤徹…

針谷 勉 / 原発一揆

【 針谷 勉 / 原発一揆 警戒区域で闘い続ける“ベコ屋”の記録 / サイゾー (160P) ・ 2012年11月(130724-0727) 】 ・内容 牛たちと運命をともにする! 福島第一原発事故により、牧場の放棄と家畜の殺処分を命じられた農家。だが、それにあらがう男は「一揆」…

伊東 潤 / 巨鯨の海

今回の芥川・直木賞。芥川賞は、いとうせいこう『想像ラジオ』が有力視されていたものの落選。個人的にはせいこう氏と‘仲好し’の選考委員、奥泉光教授のコメントを聞いてみたいところ(…というか、お二人の文芸漫談でこれ以上のネタはあるまい!)。 直木賞…

ピーター・バラカン / ラジオのこちら側で

「When I was Young,I listend to the radio waiting for my favorite song」とカレン・カーペンターは歌い、「Radio what's new? Radio someone still loves you 」とフレディ・マーキュリーは大観衆の手拍子とともに歌った。「内ポケットにいつもトランジス…

コニー・ウィリス / オールクリア2

【 コニー・ウィリス / オールクリア2 / 新☆ハヤカワ・SF・シリーズ (512P) ・ 2013年 6月(130704-0708) 】 ALL CLEAR by Connie Willis 2010 訳:大森望 ・内容 第二次大戦下のイギリスで現地調査をするため、過去へとタイムトラベルしたオックスフォード大…

宮内悠介 / ヨハネスブルグの天使たち

『盤上の夜』宮内悠介さん待望の新刊。出たらすぐ読むつもりだったのに遅くなってしまった。 【 宮内悠介 / ヨハネスブルグの天使たち / ハヤカワSFシリーズ Jコレクション (261P) ・ 2013年 5月(130629-0703)】 ・内容 ヨハネスブルグに住む戦災孤児のス…

対話集 原田正純の遺言

【 対話集 原田正純の遺言 / 朝日新聞西武本社・編 / 岩波書店 (296P) ・ 2013年 5月(130612-0617)】 ・内容 水俣病をはじめ、人の命や尊厳を脅かす産業社会の負の面に医師として半世紀以上対峙し、2012年6月に亡くなった原田正純氏。「被害の記憶や教訓。…

佐高 信 / 原田正純の道

【 佐高 信 / 原田正純の道 水俣病と闘い続けた医師の生涯 / 毎日新聞社 (192P) ・ 2013年 5月(130608-0612)】 ・内容 医師の立場から胎児性水俣病を証明し、常に患者の側に立って水俣病を告発し続けた原田正純。企業の利潤追求、国の経済発展の論理と対峙…

石牟礼道子 / 椿の海の記

【 石牟礼道子 / 椿の海の記 / 河出文庫 (320P) ・ 2013年 4月(130602-0607)】 ・内容 はだしで盲目で、心もおかしくなって、さまよってゆくおもかさま。四歳のみっちんは、その手をしっかりと握り、甘やかな記憶の海を漂う。失われてしまったふるさと水俣…

山口由美 / ユージン・スミス 水俣に捧げた写真家の1100日

【 山口由美 / ユージン・スミス 水俣に捧げた写真家の1100日 / 小学館 (237P) ・ 2013年 4月(130529-0601)】 ・内容 二十世紀を代表する写真家ユージン・スミス(1918-1978)の代表作であり、人生最後のプロジェクトでもあったのが、写真集『MINAMATA』(1975…

鏑木 毅 / アルプスを越えろ!激走100マイル

人物伝シリーズ、日本代表も一人。 【 鏑木毅 / アルプスを越えろ!激走100マイル ―世界一過酷なトレイルラン / 新潮社 (207P) ・ 2013年 3月(130525-0528)】 ・内容 目指すゴールは160キロ先! 挑む「登り」の総計はエベレスト以上!! ― 不眠不休は当たり…

P.ジョンソン / チャーチル 不屈のリーダーシップ

‘石の拳’ロベルト・デュラン伝の後にチャーチル伝を読むヤツなどいまい。 2016年から流通するイギリスの新しい5ポンド紙幣にチャーチルの肖像が使われることになったと先月報道された。 右下には1940年5月の首相就任演説の一節、「私が差し出せるのは血と労苦…

C.ジューディージェイ / ロベルト・デュラン "石の拳" 一代記

最近ボクシングは全然見てないのに、ボクシングの本は読んでいる。 これは百田尚樹のファイティング原田より、ずっと良かった! 【 クリスチャン・ジューディージェイ / ロベルト・デュラン "石の拳" 一代記 / 白夜書房 (533P) ・ 2013年 3月(130511-0518) …

F.ブレイディ / 天才ボビー・フィッシャーの生涯

【 フランク・ブレイディ / 完全なるチェス 天才ボビー・フィッシャーの生涯 / 文藝春秋 (528P) ・ 2013年 2月(130504-0510) 】 END GAME Bobby Fischer's Remarkable Rise and Fall by Frank Brady 2011 訳:佐藤耕士 ・内容 クイーンを捨て駒(サクリフ…

矢野顕子、忌野清志郎を歌う

二月初め、小用に出て会社に戻る車中、ラジオから聞こえてきたのは坂本美雨さんの「ディアフレンズ」。美雨さんが「お母さん」と言っている…… その日のゲストは、清志郎のカバーアルバムを発表する矢野顕子さんだった。(あれからもう三ヶ月がすぎてるなんて…

B・トリンスキー / ジミー・ペイジ自伝

読みたい本がたくさんあって困るのだが、今月は人物伝を続けて読む予定。 手始めは、これだ! 【 ブラッド・トリンスキー / 奇跡 ジミー・ペイジ自伝 / ロッキン・オン (381P) ・ 2013年 3月(130430-0503) 】 LIGHT AND SHADE by Brad Tolinski 2012 訳:山…

コニー・ウィリス / 最後のウィネベーゴ

【 コニー・ウィリス / 最後のウィネベーゴ / 河出文庫 (424P) ・ 2013年 2月(130426-0429) 】 ・内容 深い余韻を読後に残す感動作からタイムトラベル恋愛喜劇まで、天才ストーリーテラーが贈る全五篇。ヒューゴー賞、ネビュラ賞ほか全十二冠に輝く無敵の短…

コニー・ウィリス / オールクリア1

『ブラックアウト』(灯火管制)の続篇が刊行された。「オールクリアー(警報解除)」かと表紙タイトルを見ると『オールクリア「1」』、今回は二分冊なのを知らなかった。これで終わると意気込んでいただけに、拍子抜け。完結編は六月の予定とのこと。 先に…

レイ・ブラッドベリ / 刺青の男

「刺青の男」といえば…… (DJ小林克也風に)我が心の友、ザ・ローリング・ストーンズ1981年リリースの名盤 “TATTOO YOU”! ‘スタート・ミー・アップ’から‘友を待つ’までの全11曲、45分はiPod不要、今でも脳内ジュークボックスでフル再生可能である。お仕事中にと…

イレーヌ・ネミロフスキー / フランス組曲

【 イレーヌ・ネミロフスキー / フランス組曲 / 白水社 (566P) ・ 2012年10月(130411-0416) 】訳:野崎歓、平岡敦 ・内容 1940年初夏、ドイツ軍の進撃を控え、首都パリの人々は大挙して南へと避難した。このフランス近代史上、最大の屈辱として記憶される「…